塩素
トリハロメタン
有機塩素化合物(TOX)
亜鉛

水銀

アスベスト
クリプトスポリジウムやジアルジアなどの原虫(単細胞の寄生虫)
PCP(pentachlorophenol)
クロルデン(chlordane)
1,4-ジオキサン(1,4-dioxane C4H8O2)
腸管出血性大腸菌O157 

レポート類

家庭でできる水道水中の鉛の危険性を小さくする方法。         
(アメリカ環境保護局EPA/810-F-93-001June 1993)


塩素

塩素処理の結果、水中に残留した有効塩素(酸化力を有する形の塩素)を指し、塩素イオン(Cl-)とは化学的に性質が異なるものです。遊離残留塩素(次亜塩素酸 HClOおよび次亜塩素酸イオンClO-)と結合残留塩素(アンモニアや有機性窒素化合物などと結合した塩素。クロラミン NH2Clなど)があります。  水道法では、給水栓における水が遊離残留塩素 0.1ppm以上(結合残留塩素の場合は 0.4ppm以上)を保持するよう塩素消毒することが定められていますが、上限の規定はありません。

安価で非常に強力な殺菌力を持ちますが、水の味と臭いを損ない、その水を使った食事や飲み物の味に影響します。また髪や皮膚を乾燥させ荒れさせます。

参考までに塩素の体への吸収量は、飲み水からよりも風呂やシャワー時の呼吸器官からの吸収量の方がはるかに多いと言われています。

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トリハロメタン

メタン(CH4)の4個の水素原子のうち3個がハロゲン原子によって置換された物質の総称で、通常は、クロロホルム(トリクロロメタン CHCl3)、ブロモジクロロメタン(CHBrCl2)、ジブロモクロロメタン(CHBr2Cl)、ブロモホルム(トリブロモメタン CHBr3)の4種を指します。

クロロホルムは発ガン性が証明されており、他の3種も変異原性が確認されている物質ですが、近年、水道原水中に含まれる有機物(フミン質等)と浄水過程で用いられる塩素との反応によってクロロホルムを始めとするトリハロメタンが生成することが指摘され、問題となっています。

発ガン性のほか、中枢機能低下、肝臓毒性、催奇形性やさまざまな他の症状も引き起こします。トリハロメタンは温度が高いほどたくさんできるため、夏場は濃度が上がります。また投入塩素に比例して発生トリハロメタンは増えます。煮沸すると常温の4倍に濃度が上がるので煮沸して5〜10分ほどしてから飲んだほうがよい。

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有機塩素化合物(TOX)

水中の有機ハロゲン化合物の総量を塩素換算量(mgCl/l)などで表したものですが、有機フッ素化合物は含まれません。塩素処理によって生じる有機ハロゲン化合物にはトリハロメタンの他に種々の不揮発性のものがあり、水道水中のトリハロメタンは通常TOXの20〜30%にすぎません。トリハロメタンがこれほど問題になったのは、たまたまガスクロマトグラフで容易に検出できたためであり、健康影響の観点からは不揮発性の有機ハロゲンも重要であることから、TOXをより重視すべきであるという意見があります。

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亜鉛

EPAの基準では二次最大汚染許容濃度は5mg/Lです。この基準値以上の亜鉛レベルだと白い濁りが発生し、水の味も悪くなります。亜鉛の存在は一般的には健康上の危険性を意味するものではなく、少量は健康上も必要です。

亜鉛は飲用水中に自然に存在します。給水本管から水をひく給水管は安い亜鉛引き鋼管が一般的に使われていますが、亜鉛の汚染は、亜鉛引き鋼管の内側に塗ってある亜鉛が軟水あるいは酸性の水で腐食して溶出して発生します。(亜鉛引き鋼管の亜鉛が溶け出ると、その後は下の鉄管のさびによる赤い水が出てくる。) 

水の汚染と浄化処理の際の投入薬品で水の腐食度が増し、金属の溶出は近年ひどくなってきています。

白い水:コップに水を入れ、数秒間放置して下のほうから透明になり、白い濁りがなくなる時は、水中に溶け込んでいる空気が気泡となって白く見えているためで安全性については心配ありません。放置しても白さが消えなかったり、煮沸すると白くなる時は、亜鉛が溶けていると考えられます。

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鉛配管や鉛ハンダなどから汚染されます。鉛の配管はやわらかくて加工しやすく、錆びることもないことから以前は広く使われました。現在はステンレス管と塩化ビニール管がほとんどですが、いまでも使用されています。

体に取り込まれると、鉛中毒を引き起こし、知育障害、全身まひ、神経錯乱などを引き起こす危険性があります。

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水銀

産業廃棄物、バッテリー、電子部品などにより直接的、間接的に水が汚染される可能性があります。腎臓と神経系統の障害の原因。

自然、工業廃棄物からの汚染。胃腸の炎症の原因。

アスベスト

鉛と同様に、終戦後、大量にアスベスト水道管が使われましたが、現在もまだ、水道管の20%を占めています。肺がんの原因である発ガン性物質。

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クリプトスポリジウムやジアルジアなどの原虫(単細胞の寄生虫)

原虫の包嚢を含んだ動物の糞が主な原因。雨水で包子が湖、河川に流れて、浄水プラントで原水として使用されると感染する可能性があります。包嚢は3−4ミクロンと非常に小さいが、浄水システムでもっともよく使われている塩素から体を守るシェル(殻)を持っています。クリプト病原虫などの新・原虫は非常に生命力が強く、塩素では殺すことができません。

1993年に米国のウィスコンシン州ミルウォーキーで、湖からの水道水によって給水を受けた160万人のうち、約4分の1の40万3000人が感染し、うち約400名が死亡しました。死亡者はすべてHIV患者。日本では1994年に神奈川県平塚市で水道水受水槽に汚水が混じり461人が感染して4名が入院しました。1996年6月には埼玉県越生で一ヶ月の間に発症者が8812人にのぼり下痢・腹痛などを訴えました。1997年の夏に厚生省が全国の水道水源282地点の水を検査しましたが、8ヶ所でクリプトスポリジウムが、24ヶ所でジアルジアという原虫が検出されています。

米国のEPAは水中のクリプト病原虫により1億5500万人がリスクにさらされている可能性があるとしています。感染すると健康体の大人の場合、インフルエンザに似た症状が1−3週間続きます。この病原虫は体力の落ちている人や免疫が低下している人(例えば癌患者やAIDS,HIV患者)が感染すると死亡に至ることも多い。熱には弱いので、煮沸すれば安全です。

注)日本ではまだクリプトスポリウムにより死亡例はありません。

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PCP(pentachlorophenol)

有機塩素系の農薬で、除草剤、殺菌剤、シロアリ駆除剤、木材防腐剤などの用途があります。  主に水田用除草剤としてかつて多用されましたが、魚毒性が強く、しばしば魚類の死亡事故を引き起こしました。人体に対しても、食欲不振、甘味嗜好、多量発汗、不眠、倦怠感、関節痛、クロルアクネ、黒皮症などの中毒症状を引き起こします。

1971年に農薬取締法の水質汚濁性農薬に指定されてからは、製造量、使用量ともに激減しました。

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クロルデン(chlordane)

有機塩素系の殺虫剤で、単一の化合物ではなく十数種の異性体や関連化合物からなるものです。

農薬としての登録は1968年に失効していますが、使用量が増えたのはむしろ登録失効後で、シロアリ駆除剤、合板接着剤への添加などに多量に使用されました。しかし、1986年9月に化審法の特定化学物質(現行法では第一種特定化学物質)の指定を受けてからは、すべての用途で製造、販売、使用が事実上禁止されています。

人体の急性中毒症状は、吐き気、下痢、けいれんなどで、経皮毒性も強く死亡例もあります。慢性中毒症状は中枢神経刺激、肝腎障害、肺水腫、消化管刺激などで、動物実験では発ガン性も確認されています。蓄積性も高く、母乳や血液で1〜2ppb、魚介類では数十ppbの汚染が報告されています。

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1,4-ジオキサン(1,4-dioxane C4H8O2) 

ジエチレンオキシド(diethylene oxide)などともいう 。 穏やかな香りをもつ無色の液体で、各種の工業溶剤などに用いられます。引火・爆発の危険性大。

粘膜に強い刺激性があり目や肺に障害を起こすほか、体内に吸収されると中枢神経抑制(麻酔)や重症の肝・腎障害を引き起こします。動物実験では肝ガンの発生も知られています。

化審法の指定化学物質に指定されており、水質や底質の調査対象物質として取り上げられることがあります。

注:農薬などはかなり前から規制が厳しくなって危険な物質の使用量は激減していますが、水が地下に浸透して地表に出てくるまでの長い期間を考えると、飲み水のリスクが減ったことにはなりません。これは他の規制が厳しくなった化学物質にも当てはまります。仮に水が地表に出てくる期間が15−20年とすると、これからさらに水の汚染度は増すことが予想されます。

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腸管出血性大腸菌O157

O157は病原性大腸菌の一種で、Oとは菌の特性を示す(O抗原)ドイツ語の頭文字です。157番目に分類されたところから命名されました。大腸菌の多くは無害ですが、このO157は体内に入るとベロ毒素(ベロ毒素の毒性はフグ毒の30-50倍もある)を出し、腹痛や下痢、血便などの症状を起こします。感染してから5−9日で発症する場合が多い。毎年100件程度の感染が報告されています。O157が産む「ベロ毒素」はジン臓などにとりつき、赤血球を壊したり毛細血管を詰まらせたりします。ジン不全や脳障害をひきおこし、幼児ではショック症状で容体が急変することもあります。特効薬はまだありません。

腸炎ビブリオなどは百万個以上を一度に口にしないと発症しませんが、O157は千から一万個が口から入っただけで、体内で爆発的に増殖します。他の食中毒に比べ、発症者の家族や集団生活している人に感染する危険がずっと大きくなります。

O157は75度以上で、一分以上加熱すると死滅します。生水や井戸水を使わざるを得ない場合は必ず加熱しましょう。塩素には弱いが、0.1ppm以下なら生き残ることもあります。水道水の残留塩素は普通1ppm以上ですので通常完全に死滅します。

マンションなどの集合住宅などの場合は、必ず大きな貯水槽に水道水を一旦貯めて、そこから各家庭に配水されています。貯水槽や配管に問題があると塩素が抜けて予想に反して汚くなっていたり、ネズミの死骸なども見られることもあります。貯水槽はきちんとした維持管理が重要です。

「安全な水」というよりも「おいしい水」を作るのが目的の、塩素やカルキ成分を取り除くだけの浄水器を通した水道水の塩素濃度は、限りなくゼロに近くなるので、塩素による消毒力は殆ど期待できません。また、浄水器内部の清掃が不十分だと雑菌が繁殖している場合もあります。

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